先週の平日、ようやく観に行って来ました。
興味がなかったわけではなく、フォトセッションがダイヤさんの週まで待ってたのです...が。
観る前から薄々つまらないという話や、売り上げ的にやばいという話を伝え聞いてました。
で、実際に自分で観てみて、つまらないと言われる理由をなんとなく察しました。
なので、自分で感じたところを説明を交えつつ書いてみようと思いました。
記憶があやふやな部分があるので、間違ってたら指摘してください。
結論から書くと、だいたいシナリオのせいです。
全体的にテンポが悪い
まずひとつは、シナリオ展開的にテンポが悪いことです。
今回の映画ですが...まず、いきなり主人公たちが思い悩むシーンから始まります。
悩むポイント、解決すべき課題が2点。
「3年生が抜けた穴をどう埋めるか?」
「統廃合先の学校の父母に、浦の星の生徒をどうやって認めてもらうか?」
シナリオとして考えた場合に、この2つの課題が挙がるのは、あのアニメ版の続きを考えればとても自然な話の流れだとは思います。
ただ一方で、劇場版と考えた場合に、まずは一気にテンションをあげるようなシナリオ展開がポイントです。
あまり比較として持ち出したくはないのですが...前作ラブライブ!の劇場版では、最初は「ニューヨークに行ってスクールアイドルをアピールする」「アピールのためのライブの場所を探す」というミッションから始まります。
そのあとに「人気が出たμ'sを解決すべきか、否か?」という課題が突きつけられる、という展開でした。
つまり、前作はまずは盛り上げるという流れを作り、その後で課題を突きつけるという、あげて落とす展開だったわけです。
今回の映画では、そこをいきなり落とすところから始めちゃった。
劇場版のシナリオ展開としては、かなり盛り上がりに欠けます。
もうひとつ、テンポが悪いなと感じさせる要素は、キャラを見せる時間が長いことです。
キャラアニメなので、キャラの魅力を引き出して、それを引き立てる演出が必要です。
今回、ワンシーンごとにキャラのやりとり、見せ方(数秒同じキャラを見せ続けたり)というシーンが多かったように感じました。
シナリオがよければそこまで気にならなかったでしょうが、シナリオのダメさに引きづられて悪目立ちしちゃってるなと感じざるを得ませんでした。
話の構造がちょっと複雑
もひとつが、シナリオの構造的に少し複雑であるということです。
今回の映画のシナリオを分解すると、こんな感じになります。
最初に、主人公たちに3つの課題が突きつけられます。
正確には、まず2つの課題が突きつけられ、上乗せで1つ課題が突きつけられる、でしょうか。
- 「3年生が抜けた穴をどう埋めるか?」
- 「統廃合先の学校の父母に、浦の星の生徒をどうやって認めてもらうか?」
- 「3年生3人が旅行先で行方不明になった」
で、Aqoursメンバーがイタリアに3年生を探しに行ったところで、課題が切り替わります。
- 「3年生が抜けた穴をどう埋めるか?」
- 「統廃合先の学校の父母に、浦の星の生徒をどうやって認めてもらうか?」
- 「3年生3人が旅行先で行方不明になった」→「マリーさんの結婚話をどう食い止めるか?」New!
さらにマリーさんの母親が出て来たところで、さらに課題が切り替わります。
- 「3年生が抜けた穴をどう埋めるか?」
- 「統廃合先の学校の父母に、浦の星の生徒をどうやって認めてもらうか?」
- 「マリーさんの結婚話をどう食い止めるか?」→「マリーさんの母親にどうやってスクールアイドルを認めてもらうか?」New!
で、イタリアで3つめの課題が解決し、日本に帰って来ます。
課題1、2が残ったままです。
- 「3年生が抜けた穴をどう埋めるか?」
- 「統廃合先の学校の父母に、浦の星の生徒をどうやって認めてもらうか?」
で、今度はAqoursとセイントスノーのライブをするなどして、1つめの課題を解決します。
2つめの課題は残ったままです。
- 「統廃合先の学校の父母に、浦の星の生徒をどうやって認めてもらうか?」
で、最後に新しい学校でライブをやって、2つめの課題も解決...という流れだったと思います。
つまり、3つの課題が並行して進んで、解決していくわけです。
では前作はどうだったか?
大まかにはこうです。
「ニューヨークに行ってライブしてスクールアイドルをアピールする。アピールのためのライブの場所を探す」
「ライブやる」
「日本でライブが中継されて人気が出る。μ'sを解散すべきか否かで悩む」
「やっぱり限られた時間で輝くスクールアイドルが素晴らしい。解散することにする」
「μ'sが解散してもいいように、スクールアイドルの素晴らしさを伝えるライブをやる」
「μ'sは伝説になり、卒業後も語り継がれた」
いかがでしょうか。
すべて箇条書きで書けるほど、分かりやすい展開です。
個人的には、以前書いたように「μ'sを解散すべきか否か」から「やっぱり限られた時間で輝くスクールアイドルが素晴らしい」のところで、考え方が切り替わる動機が書かれていないことがかなり腑に落ちないのですが。
とはいえ、全体的にはかなり納得感がいくシナリオです。
しかも、ちゃんと観客が目を離さないように演出もできてる。
ところが、今作はこういうふうに箇条書きでは書きづらいです。
3つの課題が並行して進み、しかも途中で課題の内容が変わるし。
リアルといえばリアルですが、映画として考えた場合に構造が複雑で頭に入って来づらいです。
しかも、先に書いたようにいきなり課題を突きつけるところから始めちゃったので、テンポは悪い。
おもしろくならない予感しかしません。
今回のライターが誰だったか記憶にないですが、シナリオを書いててこの問題点に気づかなかったのでしょうか?
ではどうすればよかったか?
キャラで売ってるラブライブ!ですから、キャラの魅力が出てればそれでいいのかもしれません。
が、キャラだけで2時間以上の映画を持たせるのは相当厳しいです。
かなり9人ともキャラが好きで、ずっと見てても飽きない!という猛者だけしか受けないと思います。
少なくとも、シナリオに期待してた人には受けないことが簡単に予想できます。
わたしの勝手な推測ですが、今回のライターさんは映画のシナリオを書いた経験がほとんどないのではないでしょうか?
24分程度のアニメだったら気にならない問題だったのかもしれません。
もう少し、よく売れてる映画のシナリオを研究すべきだったような気がします。
じゃあ、もしお前が書くとしたらどうすんの?って話だと思います。
わたしだったら、課題を「3年生が抜けた穴をどう埋めるの?」か「新しい学校にどうやって浦の星を受け入れてもらうの?」のいずれかに絞ると思います。
で、完全に前後半で分けるか、別作品で出すのか、あるいは一方の課題を完全に捨てるか...を提案したと思います。
そうしないと分かりやすくしづらいです。
まぁでもイタリアに行くイベントが映画的に必須かなと思うので、「3年生が抜けた穴をどう埋めるか?」を採用するでしょうね。
例えばですけど、
「新しい学校で浦の星の紹介のため、ライブをやることになった」
「6人で練習する、新しい学校で準備を進める」
「練習の成果を見てもらうため、セイントスノーに見てもらう、ダメ出しされる」
「自分たちの課題を探して解決するため、3年生に会いにイタリアに行く」
「一緒にライブやって、6人と9人の違いを見つける。6人のライブで魅力を引き出す要素を思いつく」
「理亜ちゃんの新しいスクールアイドルユニットとライブやって、お互いの成長を認め合う」
「新しい学校でライブやる。これから浦の星をよろしくお願いします!で〆る」
...とかにした方がよかったんじゃないかな、と。
これなら、盛り上げ、課題の突きつけ、課題の解決が分かりやすいです。
まとめ
誤解のないように弁解したいですが、わたし個人としてはまぁまぁかな、という内容でした。
けど、実際観てみて...巷でつまらない、売り上げが伸びてないと言われる理由が1回観ただけですぐ分かった、ということです。
これぐらいのこと、アニメを散々作って来た方々なら気付くだろうに...誰も違和感を持たなかったのだろうか。。。
これのせいで「やっぱAqoursはダメだ、μ'sに劣る」なんて論調が加速しないことを祈るばかりです。
次作に期待したいです。。。